我が家のかぶとむしは、ついこないだまで生きていた。
息子が、茨城の義父からもらってきたものだ。
人間でいえば、100歳近くは生きたのではなかろうか。
最後くらい放してあげた方が、と思う反面、
最後に放すのはかえって酷かもしれない、と思いなおし、
横に加湿器を置きながら、殆ど介護状態で、砂糖水を口元にもっていきながら、
もしかしたら、冬を越すのではないか、と期待したものだ。
だが、やはり自然の摂理にはかなわない。
カラスに仲間を食べ尽くされ、本人も足の先をほとんど失った状態で、
人間に保護(捕獲)されたかぶくん。
その一生は、果たして幸せだったのだろうか。(内藤まろ)