部屋または建築にまつわる「音」のこと。その2。内藤まろ近況ブログ

もちろん、そのまま諦めるわけにもいかず、幾度となく本人の住居まで訪ねていった。おそらく、十数回は行っただろう。ところが、行くたびに必ず不在。だが、奇妙なことに、友人や知人を家に残し、自分が外出しているときに限って男は現れるのだ。サングラスをかけて、人相を隠して。友人には、音のことと、男に家族または同居人が何人もいることを告げて脅すことを繰り返す。(毎回、その人数は違うのだけど)だから、特徴を尋ねてもよくわからず、友人は気味わるがり、こちらの不審は募るばかり。

朝、仕事から帰ると、恨みつらみが書かれた手紙が、玄関に貼られていたこともたびたびあった。「てにをは」の乱れた日本語と、妖怪漫画に出てくるような書体。疲れのピークに手紙を見るのは、そのたびに気は滅入ったが、それでもなんとか保てたのは、会社の泊まりや出張が多かったせいもあるかもしれない。

ところが、そんな日々にも、あっけなく終わりがくる。そこに住んでから一年半ほどが経過し、正月のあけて少したった頃。新しい管理人から、下階の人間が亡くなったことを知らされた。死後五日ほどで発見されたそうだ。身寄りもなく、死後硬直も進んでいたらしい。

では、あの出入りしていたという人間はなんだったのか。本当はほっとしたはずなのに、少しだけ彼の人生を不憫に思った。

さてさて、次なる永田町の新居では、上下左右に、いったいどんな住民が住むことだろう。

*追伸。ヨダかで働いていた長女が、このたびやっと社会人として羽ばたく。今だに親バカで、高いところと、電車のホームには気をつけろ、と常に注意している笑。9階に住んでいるので、いったい何を気をつけるのやら笑。

内藤まろ

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